こんにちは、ソムリエのたきてんです😊
いつもご覧くださいましてありがとうこざいます⭐️
今回はドイツ編 パート 2 産地とその他のワインについて解説していきたいと思います🍷
代表的な産地の場所や特徴、河との位置関係、その他のワインの呼び名や特徴、ドイツでの畑の格付けなどが重要となります。
今回も最後までゆっくりと見ていってください🤩
1. 13の生産地域
ドイツは大きく13のべシュテム・アンバウゲビーテと呼ばれる地域に分類されます。
アンバウゲビーテ=地方、という感じで覚えておくと良いです。
地方の特色やブドウ品種、ベライヒ(地区)は必須ですが、畑名まで覚えることは不可能ですので要所をのみチェックしておきましょう。
1)アール(Ahr)
ドイツ西部における最北のブドウ栽培地域で、ライン河支流のアール河流域の産地で険しい斜面が特徴です。
かつての西ドイツ首都だったボンに近く、中心地バート・ノイエナール=アールヴァイラーは温泉保養地として有名です。
べライヒ(地区)の数は1つで「ヴァルボルツハイム/アールタール」、 品種はシュペート・ブルグンダー、ポルトギーザーで赤84:白16の比率となり赤ワインの産地です。
1868年にマイショースに醸造共同組合を結成し、これがドイツ最初の醸造共同組合とされています。
土壌は粘板岩です。
2)ミッテラン(Mittelrhein )
ビンゲンとボンの間にあり、ナーエ河河口、ビンガーブリュックからジーベンゲルまでのライン河沿い130kmの細長い産地です。
栽培面積は470haとドイツで2番目に小さいですが、ローレライの歌で知られる風光明媚な地域です。
ビンゲンからコブレンツまでの景観はユネスコ世界文化遺産に登録されています。
べライヒは2つで「ローレライ」「ジーベンゲビルテ」、 品種はシュペート・ブルグンダー、リースリングで赤15:白85の比率となります。
ブドウ畑の60%以上が傾斜30%以上の急斜面で栽培の手間がかかります。
土壌は粘板岩です。
3)モーゼル(Mosel)
2006年まではモーゼル・ザール・ルーヴァーと称しており、モーゼル河、ザール河、ルーヴァー河の3つの河の流域にある産地です。
川の流れに沿って様々に向きを変える渓谷斜面の約4割が斜度30%を超える急斜面にブドウ畑が広がります。
下流の一部は急斜面に石垣を用いてテラス状にブドウ畑を仕立てていることからテラッセンモーゼルと称されることがあります。
ラインガウと並ぶ銘醸地で、オルツタイルラーゲ(村名併記不要畑)が1つあります。
1464年のトーリヤの聖ヤコブス施療院の会計簿に、リースリングの苗木を植樹したという記録があり、これがこの品種の最古の言及の一つです。
1868年にはプロイセン政府がブドウ畑の格付け地図を作成しましたが、これが現在のVDPが行なっている格付けの基礎となりました。
白ワインの産地で主要品種リースリングが約60%を占め、モーゼルのみがアインツェルラーゲ(単一畑)を呼称することができます。
年に数日氷点下7℃前後に達し、アイスヴァインの収穫が可能となります。
べライヒは6つで「ブルク・コッヘム」「ベルンカステル」「ルーヴァータール」「ザール」「オーバーモーゼル」「モーゼルトーア」です。(ドイツ語表記でも読めるようにしておきましょう)
品種はリースリング、ミュラートゥガルで赤10:白90の比率です。
土壌は粘板岩の急斜面(スレート状の石が特徴)です。
4)ナーエ(Nahe )
ビンゲンでライン河に注ぐナーエ河流域一帯の地域です。
神秘家として有名な修道女ヒルデガルド・ビンゲンが院長を務めたいた女子修道院ディジボーデンベルクはナーエにありました。
1980年代までは様々な交配品種が栽培されていましたが、1990年代以降は伝統品種への回帰が進み、リースリングが栽培面積の約29%を占めるようになりました。
リープフラミルヒ生産可能です。
べライヒは1つで「ナーエタール」 です。
品種はドルンフェルダー、リースリング、ミュラートゥガルで赤25:白75の比率です。
土壌は多種多様となります。
5)ラインガウ(Rheingau)
ロルヒハウゼンからアスマンハウゼンを経てヴィスバーデンまでのライン河北岸、さらにマイン河河口近くの北岸にあるホッホハイムまでの産地です。
特別に優れたワインを「カビネット」と示したが、それを最初に用いたのが1712年のエーバーバッハ修道院とされています。
1867年にはドイツで初めてブドウ畑を3段階に格付けした地図がラインガウで刊行されました。
ラインガウにはドイツのブドウ醸造技術を研究し、若手醸造家を育成するガイゼンハイム大学があります。
1984年には「食事と共に楽しむ高品質な辛口の復活」を掲げたカルタ同盟を結成し、紆余曲折を経て1999年にVDPラインガウに吸収されました。
リープフラミルヒ生産可能です。
べライヒは1つで「ヨハニスベルク」 です。
品種はシュペート・ブルグンダーが12%、リースリングが78%を占め、で赤15:白85の比率です。
土壌は黄土層、粘板岩です。
6 )ラインヘッセン(Rheinhessen)
ドイツ最大のワイン生産地域で、西はナーエ河、北と東はライン河に接します。
第二次世界大戦後の甘口ワインブームでは、砂糖大根などの農作物を栽培していた土地がブドウ畑にされていました。
1950年代という早い時期から有機農法を採用するワイン生産者が登場したのもラインヘッセンでした。
ラインヘッセンのテロワールの潜在能力を確信する若手醸造家たちが2001年に団体「メッセージ・イン・ア・ボトル」を結成しました。
2011年にはVDPとラインヘッセンブドウ栽培者連盟の有志が集まり、オルツワインをアピールする試飲会を開催。
彼らは2017年に醸造所団体「マキシメ・ヘアクンフト・ラインヘッセン」を結成し、VDPと同様の格付けを採用しました。
リープフラミルヒ生産可能で「千の丘陵地」と呼ばれています。
1980年代には輸出されるドイツワイン の約60%がリープフラミルヒでした。
べライヒは3つで「ビンゲン」「ニアシュタイン」「ヴォンネガウ」です。
品種はドルンフェルダー、シルヴァーナ、リースリング、ミュラートゥガルで赤31:白69の比率です。
土壌は黄土層です。
7)ファルツ(Pfalz)
温暖な地域でラインヘッセンの次に大きな産地です。
村々のワイン祭りでは容量500mlの「デュッペグラス」と呼ばれる、壁面に凹凸のついた独特のコップでワインが供されていました。
この地方はフランス国境に近いこともあり、30年戦争やファルツ継承戦争で甚大な被害を被りました。
名醸造家として知られるハンス=ギュンター・シュヴァルツが育成したファルツ南部の5人の醸造家たちが結成した団体「フュンフ・フロインデ」は高品質なブルグンダー系ワインを醸造して注目を集めました。
その後彼らは2000年頃に「ズュートファルツ・コレクション」を結成し、プレディカーツワイン醸造所連盟の若手プロジェクトにも参加しています。
ファルツはブドウ栽培面積、生産量ともにドイツ第2位です。
リープフラミルヒ生産可能で、べライヒは2つ「ミッテルハールト=ドイチェ・ヴァインシュトラーゼ」「ズュードリッヒ・ヴァインシュトラーゼ」です。
品種はドルンフェルダー、ポルトギーザ、リースリング、ミュラートゥガルで、赤38:白62の比率です。
土壌は石灰岩です。
8)ヘシッシェ・ベルクシュトラーゼ(Hessische BergstraBe)
ドイツで栽培面積最小の地域です。
ドイツのトスカーナもしくはリヴィエラとも称される風光明媚で温暖な気候です。
歴史的には恐らくローマ人がブドウ栽培を始めたとされ、史料に登場するのは8世紀以降でした。
畑は主にライン川から約20km離れた南西から南向きの斜面にあり、ユネスコが認定するベルシュトラーセ・オーデヴァント・ジオ自然公園の一部となっています。
べライヒは2つで「シュタルケンブルク」「ウムシュタット」 です。
品種はシュペート・ブルグンダー、リースリングで、赤21:白79の比率です。
土壌は黄土層です。
9)バーデン(burden)
ドイツ最南端の産地で、年間平均気温が高いのが特徴の地域です。
栽培面積ではドイツで3番目の大きさとなります。
バーデンのブドウ栽培の最も古い証拠はベライヒ・ボーデンゼーのライヒェナウ修道院のもので、8世紀のブドウ種が見つかっています。
1880年代には各地で醸造共同組合が結成されました。
風土の特徴としては、ライン川対岸のヴォージュ山脈南部とジェラ山地の間に「ブルゴーニュの門」と言われる低地があります。
べライヒは9つで「タウバーフランケン」「バーディッシュ・ベルクシュトラーゼ」「クライヒガウ」「オルテナウ」「ブライスガウ」「カイザーシュトゥール」「トゥニベルク」「マークグレーフラーラント」「ボーデンゼー」です。
品種はシュペート・ブルグンダー、ミュラートゥガル、グラウブルグンダーで、赤42:白58の比率です。
特産品種のグートエーデルはスイスでシャスラ、あるいはファンダンと呼ばれ、ドイツではここでしか栽培されていません。
土壌は石灰岩、黄土層です。
10)フランケン(Franken )
旧西ドイツでは最東端にあり、辛口ワインで有名な地域です。
フランケンは他の産地が甘口を量産していた80年代以前にも辛口にこだわっていました。
ここでは独自基準で残糖4g/ℓ以下がトロッケンとされ、フレンキッシュ・トロッケンと称します。
フランケン産を特徴付けるボックスボテイル型の瓶でワインを販売してます。(1989年EU商標登録)
歴史的には1659年にカステル村にオーストリアから苗木を取り寄せて植えたのが、ジルヴァーナのドイツにおける起源です。
オーストリアから取り寄せた品種ということで20世紀半ばまでエスタラヒャーと呼ばれていました。
ボックスボテイルについては紀元前1400年のケルト族の陶器の容器が元祖だと言われています。低地ドイツ語で「祈祷書を入れる袋」に由来しているそうです。
べライヒは3つで「マインフィアエック」「マインドライエック」「シュタイガーバルト」です。
品種はミュラートゥガル、シルヴァーナで、赤19:白81の比率です。
土壌は石灰岩、黄土層です。
11)ヴュルテムベルク(Wurttemberg)
ダイムラーやポルシェ、ボッシュなどドイツを代表する企業とその下請け企業を抱えるシュトゥットガルトや古都のハイルブロンがあります。
1人あたりの年間ワイン消費量がドイツ年間平均の2倍を超え、居酒屋ではガラスのマグカップでワインが供されることが多いようです。
歴史的には1806年に成立したヴュルテンベルク王国は、1866年の普墺戦争(ふおうせんそう=プロイセンvsオーストリア)でオーストリア側について敗北しプロイセンの支配下に入りました。
この当時のハプスブルク家への帰属意識が、現在もこの地域の独特な品種構成に影響しているとの意見もあります。
主要品種は、リースリング、トロリンガー、レンベンガーなどです。
べライヒは6つで「バイリエッシャー・ボーデンゼー」「レムスタール=シュトゥットガルト」「ヴュルテンベルギッシュ・ウンタラート」「コッハー・ヤクスト・タウバー」「オーバラー・ネッカー」「ヴュルテンベルギッシャー・ボーデンゼー」です。
土壌は石灰岩、黄土層です。
12)ザーレ・ウンスルート(Saale-Unstrut)
旧東ドイツ領内の産地で歴史は古く、ドイツ最北の産地として知られています。
もともと自家消費のためのブドウ栽培は少量許されていて、東西ドイツ統一後に醸造所を始めたり国営醸造家が独立するなどと多用な生産者がいます。
1990年の東西ドイツ統一以降個人経営の醸造所が増えています。
べライヒは3つで「チューリンゲン」「シュロス・ノイエンブルク」「マンスフェルダー・ゼーン」です。
品種はミュラートゥガル、ウェイブルグンダーで、赤26:白74の比率です。
土壌は石灰岩、砂岩です。
13) ザクセン(Sachsen)
旧東ドイツに位置しており、ドイツ最東の産地でワイン生産量は国内3番目に小さいです。
ザクセン州の州都ドレスデンと磁器で有名なマイセンを含みます。
伝統的な建築物と風光明媚な土地は2004年にユネスコ世界文化遺産に登録されましたが大きな橋を建設して景観を損ねた為2009年に指定を取り消されました。
特産物はボーリングのピンのような形をした「ザクセンコイレ」というボトルと、交配品種ゴルトリースリングがあります。
エルベ渓谷の影響で北緯51度付近にしては温暖な気候です。
べライヒは2つで「マイセン」「エルスタータル」です。
品種はミュラートゥガル、リースリングで、赤19:白81の比率です。
土壌は砂岩です。
2 収量制限
ドイツの地区にはそれぞれブドウの収量制限がありますのでそちらも覚えておきましょう。
1)モーゼル地区
最大収量125hℓ/h a、エルプリング150hℓ/h aまでです。
2)フランケン地区
最大収量90hℓ/h aまでです。
3)ラインガウ地区
最大収量100hℓ/h までです。
3ドイツ産スパークリング
ドイツのスパークリングワインも特徴により呼び名が様々です。
大変ですがこちらも覚えておきましょう。
1)シャウムヴァイン(Schaumwein)
炭酸ガスは注入したもので構いません。
ブドウ品種や収穫年のラベル表示は不可です。
アルコール9.5%以上です。
2)ゼクト(Sekt)
上級スパークリングワインで炭酸ガスの注入は二次発酵でのみ可能です。
20℃で3.5気圧以上、アルコールは10%以上です。
3)ドイチャー・ゼクト(Deutscher Sekt)
ドイツ産のブドウ100%で、ドイツ国内で造られたゼクトです。
4)ドイチャー・ゼクト b.A (Deutscher Sekt b.A)
13の指定栽培地域に限られます。
地域名を表示するにはその地域のブドウを100%使用します。
品種や収穫年を表記するには85%以上を使用します。
5)ペット・ナット(Pet nat)
一次発酵の途中で瓶詰めして炭酸をワインに溶け込ませるメトード・アンセストラルと同様のスパークリングワインです。
6)その他のスパークリングワイン
弱発泡性ワインはパールヴァイン(Perlwein)と呼びます。
4 ドイツ産ロゼワイン
ドイツ産のロゼワインもその特徴によって呼び名が様々です。
スパークリングに続いてややこしいですがこちらも覚えておきましょう。
1)ヴァイスヘルプスト (WeiBherbst)
単一畑からの単一品種で赤用品種から造られたロゼワインです。
白のヴァイスヘルプストもあります。
95%以上ロゼ用果汁から造られます。
2)ロートリング(Rotling)
白ブドウと黒ブドウを混ぜて混醸して造られたロゼワインで発泡酒もあります。
産地によって名称が変わる場合があります。
シラーヴァイン:ヴュルテムベルク産でQ.b.A以上のロートリングです。
バーディッシュ・ロートゴルト:バーデン産でQ.b.A以上のロートリングです。
5 ファウ・デー・ベー VDP
ドイツでの畑の格付けランクです。
フランスのアペラシオン(階級構造)と同じようなものという認識で大丈夫です。
① グローセ・ラーゲ
ブルゴーニュ地方のグラン・クリュに相当します。 ブドウは手摘みのみです。
② エアステ・ラーゲ
ブルゴーニュ地方のプルミエ・クリュに相当します。
③ オルツヴァイン
ブルゴーニュ地方のヴィラージュワインに相当します。
畑名表記不可です。
④ グーツヴァイン
ブルゴーニュ地方のレジョナルワインに相当します。
畑名表記不可です。
6 新酒:デア・イエ(Der Neue)
収穫年内に提供されるラントヴァインのことです。
フランスで例えるとボージョレ・ヌーヴォのようなものです。
販売開始は11月1日で収穫年の表示義務があります。
ブドウ品種表示可能です。
7 樽サイズの名称
さらにドイツでは樽サイズの名称まであります。
① Viertel Stuck(フィアテル・シュテュック) 300ℓ
② Halb Stuck(ハルブ・シュテュック) 600ℓ
③ Fuder(フーダア) 1000ℓ
④ Stuck(シュテュック) 1200ℓ
⑤ Doppel Stuck(ドッペル・シュテュック) 2400ℓ
最後までご覧くださいましてありがとうこざいました!
今回も出題傾向に合わせてかなり圧縮した内容となっていますので重要ポイントを抑えつつ、問題集を解くのがベストだと思います。
次回はアルゼンチンについて解説していきたいと思います☆
それでは合格目指して頑張ってください!
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管理人 たきてん